悲惨な人たち
ここにいるのは悲惨な人たち。
ナースステーションをじっと眺めていると、ガラス一枚隔ててまったく違う時間が流れていることがわかる。
「こちら側」「あちら側」というのは表裏一体、こちら側にいる人たちはみなここに来るまで至って正常に生活・勤労していた人たちだ。
こちら側には何もない。無の恐怖にあてられた私は、死の世界に来たのだと勘違いすることで己を宥めることにした。
こちら側にいる他の人たちはどうやってやり過ごしているのだろうか。関わりを絶ってしまった今となっては確かめようもない。
きっとみんな、平気じゃないんだろう。
あちら側にいる誰もが、いつでもこちら側に迷い混みうる。
自分をまともだなんて思い込んでる人たち。
人間みんなおかしいのにね。